大学院生作品 GRADUATE STUDENT WORKS
ドキドキしないで!めいちゃん
兪 凡
医学の発展に伴い、小児がんの治癒率が8割以上になったことにより、復学や生活を支援する必要性が高まっている。
本作品の目的は小学校の(がんを経験していない)クラスメイトたち一人一人が小児がん患者(以下、患児)の情況を理解した上で「チーム」としてサポートできるように導くことにある。
作品
そこで、患児の復学1年間にどのような支援が必要かを知り、自分は何が実行できるかを自発的に考える、発想カードゲームを提案した。このゲームで遊ぶことで、状況を疑似体験し、自発的な行動と、相互協力の意識をつくることができると考えた。 内容物は、テーマカード(3枚)・エピソードカード(16枚)・サポートカード(12枚)・アイデアカード(数枚)・ポイント・パンフレットで構成されている。
エピソードカードには患児に起こり得る様々な場面が記されている。サポートカードは手助けの方法が描かれ、それを行うのに相応しい場面に置くことができる。
作品
アイデアカードは、様々な場面に直面したとき、プレイヤー自身が考えた手助けの方法を書き込み、その場面に追加してくことができる。
遊び方は、ゲーム前に、白血病で入院中の様子を伝える絵本『おかえり!めいちゃん*』を読み聞かせる。本作品(ゲーム)の主人公は、この2年生の女の子「めいちゃん」という設定である。ゲームは、めいちゃんの状況を知る(15分)、めいちゃんをサポートする(30分)2つのステップがある。
作品
本作品は、学内と一般家庭での試遊を経て、アートミーツケア学会東京大会にてポスター発表をした。医療・芸術分野の方からたくさんのアドバイスを頂いた。
今後も、患児の成長段階の変化に伴う様々な問題(思春期患児の学校生活、社会人になってからの仕事生活など)にもシリーズを広げるなど、デザイン×医療の力で患者たちをサポートしたい。

*大見サキエ,森口清美,復学支援プロジェクトチーム:おかえり!めいちゃん(初版)、ふくろう出版,岡山,2015