mechamoluphoze 〜珍化論〜
渡辺志麻
「メチャモルフォーゼ〜珍化論〜」とは、私の頭の中でめちゃくちゃに混ざり合って出来た生き物たちの呼び名である。思いつき、なんでもありのキャラクターたちをそのまま表現したかった。そして、そんな生き物たちが共存するような舞台が必要だった。そこで、私が選んだ場所が「銭湯」であった。銭湯は、東京下町で育った私にとって身近でありながら、家のお風呂とは少し違うスペシャル感のある空間だ。週末や季節の行事がある時など、体だけでなく、心も開放的になりたいと思う時に入りに行ったりする。のれんをくぐると、そこには親子連れや友人同士、常連さんや初めて利用する人、年齢も子供から高齢の方まで様々な人たちに出くわす。一度も話したことがないが何度も見かける人には、見覚えのある裸姿に親しみを感じてしまうこともしばしばだ。銭湯は、おおらかでありながら色々な人が集まるカオス空間だと思っている。そういった体験から、「メチャモルフォーゼ」を登場させるのに銭湯がしっくりきたのだった。だから、皆さんには肩の力を抜いて、ぼーっと湯に浸かるように私の作品を眺めて頂きたい。
ぬいぐるみという表現方法にする理由は、ありもしない空想の世界を3D化することで実感をもってもらえるのではないかという考えからである。作品を作る原動力として、社会的目的や誰かのために作ったりすることがあるけれど、私はそれを自分自身のために作りたいと思った。より自由に、より力を抜いて、より楽しく作りたい。メチャモルフォーゼを見た人が、笑ったり、銭湯に行きたいとか、このキャラクター誰かに似ているなど、少しでも共感してもらえたら私はとても幸せだ。なぜなら、メチャモルフォーゼは私自身なのだから。