大学院生作品 GRADUATE STUDENT WORKS
『知的障害者と共に行うアートアクティビティ』~環境とヒーリングの関わり~
村重亜紀
作品
障害者差別解消法、2020年に行われるパラリンピックなど、今社会で関心が強い障害者との関わりについて着目し、知的障害者と共に行うアートアクティビティを環境デザインの学生と共に協力し、実施しました。
今の社会では障害者と関わる機会は少なく、健常者と障害者の間に心のバリアを感じる状況が多々見られます。心のバリアを無くして行くきっかけの1つとして、アートアクティビティを行いました。なぜ、アートアクティビティを選択したかというと、アートアクティビティは新しい気づきや変化を与える力を持っているからです。アートアクティビティをきっかけに、自然と障害者と健常者がお互いに関わって行く環境を作ることができるのではないかと考えます。
作品
4回実践したアートアクティビティの参加者は、健常者や中度の知的障害者だけではなく、重度の知的障害者、視覚障害者、重症心身障害者といった人でした。そのため、一律のアートアクティビティを行うことは難しく、内容を変更しなければなりませんでした。実践を重ねた結果、「視覚で楽しむこと」から「触覚で楽しむこと」に変化させることが大切だと気づきました。同じ内容、目標の物を違う状況や立場の人が「できる」ようにするプロセスを考えることは、アクティビティを企画する際に重視すべき点だと思いました。
ヒーリングの視点では、状況や立場が違う人でもそれぞれの方法で「できる」プロセスを考えることがソーシャルインクルージョンの考え方に近いものだと実感しました。
環境とヒーリングの相乗効果により、人同士が寄り添い、積極的に行動し自主性が生まれるようなアートアクティビティをつくることが出来ます。
今後、様々な立場の人たちがアートアクティビティに参加する機会が増え、参加者から「自主性」を引き出すことができれば、互いを認め合い良いコミュニケーショ ンを取り、知的障害者と健常者の間にある心のバリアを無くして行くきっかけに繋がって行くと考えます。
作品