今年で4回目となる韓国の大学との国際交流授業が6月16日(木)・ 17日(金)の2日間で開催されました。韓国龍仁市にある江南大学校の視覚伝達デザイン教授崔浩天(チェイ・ホーチョン)先生と学生6名が来日し、ヒーリング表現領域・メディア表現領域の3年生15名、ヒーリングの大学院生3名と合同ワークショップを行いました。
授業の全体テーマは「Smart Phone Zombie」。
下を向き、歩きながらスマートフォンを操作している姿が、行進するゾンビのように見えることから「スマートフォンゾンビ」という俗称が世界的に広がっています。
近年スマートフォンの普及により、日本や韓国を始め、各国で“歩きスマホ”による事故が多発しています。それは、歩きながらスマートフォンを操作しているときは、視野が通常の1/20になり、近づく対象物を認識するのが1.5mまで接近したときと、非常に危険な状態にあるためです。特に韓国のスマートフォン普及率は日本より高く8割を優に超えており、“歩きスマホ”が原因の事故は、2009年から2012年時点で1.9倍に増加しています。
事故件数の増加と共に死亡事故も発生するなど、世界でも大きな問題となっている“歩きスマホ”。それらの問題を解消できるような取り組みを、日韓混成で3チーム作り、グループワークを通して提案をしました。
<1日目>
全体テーマ発表と課題説明の後、ウォーミングアップアクティビティ“じゃんけん戦争”を行いました。じゃんけんで負けた人が勝った人の後ろについて、勝った人を応援するというアクティビティで、最後まで勝ち残った人の後ろには長蛇の列ができていました。
ウォーミングアップで最初は固かった表情もほぐれ、和やかな雰囲気のままグループワークが始まりました。
学生通訳を中心に、ブレインストーミングでキーワードを出し、さらにスケッチなども取り入れながら、チームごとにテーマを決めアイディアを出し合いました。
最後に、各グループで決定したテーマとアイディアのプレゼンテーションを行い、1日目のワークショップが終了しました。
<2日目>
2日目は、ウォーミングアップアクティビティとして各グループの名前決めと、グループ名を表すダンスの発表をしました。
「ゾンビームチーム」「ノーゾンビチーム」「アドンビチーム」とそれぞれグループ名が決定し、ダンスも披露しました。
その後は、初日に決定したテーマとアイディアをさらにブラッシュアップし、試作模型やプレゼンテーションツールの制作、デモンストレーションの練習など、約2時間の短い時間の中で最終プレゼンテーションの準備を行いました。
<最終プレゼンテーション>
A.ゾンビームチーム
テーマ:横断歩道へのプロジェクションマッピングによる交通事故対策
横断歩道へプロジェクションマッピングをすることで、下を向いてスマートフォンを操作している人の注意を引き、事故を未然に防止する。
B.ノーゾンビチーム
テーマ:“歩きスマホ”の危険性を周知するためのデモンストレーション
ロールプレイングゲームのプレイヤーとして、歩きスマホをしているときがいかに危険か、ゲーム感覚で疑似体験できるデモンストレーション。
C.アドンビチーム
テーマ:“歩きスマホ”による視界の狭さ・危険性を周知するための公共CM提案
“男女の出会い”を題材に、テレビやインターネットなどでプロモーションできるような映像作品の再現。
各チーム、デモンストレーションが中心のプレゼンテーションで、模型や小物を多用し、ロールプレイングゲームやCMの再現など、見る側の視点に立った完成度の高い発表が行われました。
それぞれのチームが創意工夫を凝らし、言葉や文化の壁を越えて短い時間の中でたどり着いたこの3つの提案は、作品のクオリティだけでなく、小さなアイディアの種を見つけ、協力し合いながら完成地点まで高められた点において、高く評価されました。
ここで経験したことをお互いの心の中で育て、今後の活動に生かして欲しいと思います。