3年 ヒーリング・アートプロジェクト演習 (「絵本の向こうに人がいる」対象研究からの絵本制作プロジェクト)2017

NEWS, 授業ナウ, 3年.

3年生後期、最後の授業はアートプロデュース表現領域と合同で開講する「ヒーリング・アートプロジェクト演習」です。現代社会において、アートとデザインが社会とどのような形で関わるのかを、ヒーリング・アート(癒しの芸術)を通して考え、公共空間におけるヒーリング・アートの様々な可能性を探り、その実践の方法について模索しました。

2017年度は学内の図書館、都内の病院と特別支援学校の3つに分かれて、実際の公共施設に協力いただき、現場見学、スタッフへのプレゼンテーションや意見交換などを繰り返して企画・制作が進行されました。

<見えない子どもたちが初めて出会う絵本>
ヒーリング表現領域としての絵本の取り組みとして、対象に寄り添う絵本の提案です。
筑波大学附属視覚特別支援学校をコラボレーションパートナーとして、幼い段階から視覚に障害がある子どもたちのための絵本に取り組みました。

学習の柱を二つ建て、一つは幼い頃から視覚に障害のあるこどもたちを知ること、学ぶ事。ここでは視覚障害児教育について知るための講義をはじめ、幼稚部・育児学級の子どもたち0〜6歳と遊びながらの交流を通して観察をし、保護者や指導者のお話を伺うことも出来ました。もう一つは視覚障害児のための絵本の現状を知ること。たくさんの国内外のさわる絵本を見て、取り組み方を聞いて研究しました。そこから見えない、見え難い子どもたちに必要なことを考察し、さわることによって世界が開けるということを知りました。しかしはじめから支障なくさわることは難しい行為である事も知り、積極的にさわっていくことが出来るように、「さわること、ふれることが楽しい絵本」をテーマに制作しました。

 

<授業の様子>

▼視覚障害教育の基礎の講義ー視覚の使用が困難なこどもの理解のために

▼アイマスクで見えないことの疑似体験をし、地図の蝕図を読みました

▼たくさんの国内外のさわる絵本を体系的に見て現状を学びました

▼視覚障害を持つ講師よりさわる絵本について、また視覚障害者用の用具や日常について伺いました

 

<制作の様子>

▼さわる絵本の企画を発表し意見交換を繰り返しました

▼制作風景

 

▼試作段階では特別支援学校の先生からも子どもたちの反応を想像したアドバイスをいただき、学生の構想も明確になっていきました。

<作品発表>

 

今ある絵本にとらわれず、学生自身が感じて考え工夫をして、また勇気を持って作り出したオリジナルの絵本が出来上がりました。

出来上がった絵本は筑波大学附属視覚特別支援学校幼稚部の子どもたちに実際に触って楽しんでもらいました。子どもたちは学生の絵本をさわり、作者が想定していた以上の楽しみ方をして、学生たちを驚かせました。

作品は3月と6月に開催される「世界のバリアフリー児童書展ーIBBY選定バリアフリー児童図書2017年度コレクションー」に、併設として展示されることが決まりました。

 

<学生作品>